コードマーク御代田長野県佐久郡御代田町面替995 |
建築基準法では、建築する土地に建てられる建築物の用途や規模などが定められているが、使われ方として明確に用途が定まっていない建築は考えられないだろうか。コードマーク御代田は、浅間山の南、平尾山麓が広がる御代田の街を見おろす場所にあり、豊かな里山環境を維持し、活動するための拠点施設として計画された。現代のコモンズとして、地域に伝わる生き抜く智恵や技を集め、最新の研究技術も試して活かす、人や知識、技術の循環を支える場を目指している。 CORDMARK=縄文と名付けられたのは、敷地から縄文時代の遺跡が発掘されたことに由来し、古代からこの場所に人の生活があったことを示している。現代とは異なり、生き抜くための地域資源が居住地の近くにあることが必要だったことを想像すると、遺跡の存在はこの場所が地域資源の積層地域であることも示している。水、緑、山、生き物・・・地域に顕在・潜在するさまざまな環境要素が、それらの循環によって重層され、結節点として建築が現れるのではないだろうか。 冬は里山の薪をエネルギーとしたペチカで過ごし、夏は山から流れる冷気を十分な夜間換気によって取り込んだ、まさに地域資源を受容する、パッシブでレスポンシブな建築である。この建築の用途を、「山の会所」と呼んでみると、ここでの活動がより豊かに感じられるのかもしれない。 (金子 尚志) |
豊かな里山環境を維持し、自治を考える活動のための民間拠点施設であり、人や知識、技術の循環を支える場をめざす施設である。 この考え方の基礎にある循環や交流というコンセプトから導かれた「螺旋(らせん)」を内部と外部の空間構成に実現させている。活動のコンセプトを空間に実現させていることを評価したい。 内部空間においては、土地の起伏を引き込み、8つのレベル差を設けた床が、クリの丸太を心柱にして、それを中心に渦を巻いたような連続的な空間構成を成し遂げている。用途の異なる8つの床が渦を巻いて囲んでいるといえる。 山仕事や作業を終えてシャワーを浴びて、土間で食事をとり、ラウンジで寝そべって森や空を眺め、ライブラリーで本を読む。そして緑に囲まれたワークスペースでみんなが車座になり議論する。自然と人間の循環が螺旋空間により表現されている。 外部空間においては、内部の空間構成が読みとれるようにはなっていない。1階の下屋を大きくとり、8つのレベルのうち5,6,7,8の上階の4つのレベルをつなげる屋根の構成である。心柱と8のレベルの端を水平にとり、屋根の棟を形づくっている。内部空間がそのまま屋根に反映されているとはいえないが、下屋から心柱のてっぺんまで「螺旋」の外部空間を形成している。 活動のコンセプトとしての「螺旋」にこだわり続けた建築である。活動の思いを形に現出した建築であるともいえる。 (塩見 寛) | |||||||||||||||||||
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