中津川市立福岡小学校岐阜県中津川市福岡1-22 |
中津川市の総面積の8割を森林が占めているという。その木材をふんだんに使うことによって、こどもたちにとって記憶に残る小学校ができあがった。 120角の柱材を用いグリッド架構でつながっている空間は壮観である。2,730mm×2,730mmモジュールを連続させて、少人数グループ学習ができる小空間から、メディアの森と名付けられた大空間まで、通常住宅で使われる柱により構成された大小さまざまな空間が連らなる。120角の柱はこどもたちにとってなじみ深く、建築の構造体にいつでも触ることができ、2,730グリッドがほどよい空間の区切りとなって、こどもたちに居心地の良いスケール感を与えている。 また柱を囲んで遊んだり、寄りかかったり、教室前の柱のない場所ではクラスみんなが集まることができ、こどもたちの多様な学びや遊びに対して、居場所をつくることができることに成功しているといえる。 こどもたちにとって毎日見て触って感じられる木の柱で構成された空間は、他の学校にはない、ここだけのものであり、何よりも貴重な思い出とともに忘れられない風景になると思うのである。 木造空間がつながる中に、S造の防火壁による区画がそれと気づかないように2箇所配置され、防火対応している。木の空間が連続しているように感じられる。 L字型でまとめられた校舎には、一枚の大屋根がシームレスに架けられ、周囲の山並みとともに風景をつくっている。 これらのことが重層することによって、こどもたちにとって原風景となり、自分たちのものとして自慢の学校になっているように感じられる。 (塩見 寛) |
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