廻庭の棲家愛知県岡崎市 |
JR岡崎駅の南、約1kmに残された旧集落の面影を残す一角で余裕ある敷地に余裕ある面積で建てられた住宅である。
敷地北側には計画道路がほぼ45度の角度で予定されており、その角度に合せて計画された結果、建屋はほぼ東西軸に平行に、一方、敷地四隅に三角形の庭を配することとなり、この計画を特徴づけている。 建築主は「漢方医」であり、家族が健康・快適に過ごす住宅に対し「明確なビジョン」をもって計画全般をリードし、設計者との協働により、満足のいく結果を獲得している。 建築本体は基本的に高断熱、高気密で構成され、開口部などではトリプル硝子を始め高性能な部品により構成された家である。 建屋中央には「動的」で昼間利用空間が主庭と一体的に計画され、そのまた中央には蓄熱型の薪ストーブが置かれ、その排気ガスをオンドルのように固定された箱状のベンチの床内で循環させることにより僅かな薪で終日を通じて、遠赤外線による暖房を可能としている。一方、西側奥は「静的」な寝室を中心とする空間とで構成されて太陽熱による床暖房が施されている。 春・秋の中間期および夏季は前庭を経由した風を引き込み、高窓より排出する重力換気により快適性を確保する計画とのこと。 今後、区画整理事業が進む中、敷地形状がどのように変化するか不明ではあるが、現在の街と庭の関係が維持されることが望まれる。 (佐藤義信) |
JRの駅にほど近い旧土地区画整理事業地域と新しく開
発された地域の狭間に位置する既存集落に建つ平屋住宅で
ある。建築家と住まい手は市街地において、いかに自然に
呼応して健やかな環境をつくるかに注力した。 建物は日射取得・遮蔽を考慮し方位に正対させて配置さ れ、敷地境界線との振れ角度が外部空間に変化を与え、緑 に囲まれた環境をつくり出している。既存集落にあっては ひときわ目立つ小さな森であり雑木林でもある庭は、道路 境界に塀を設けず土地の起伏と植栽により緩やかな境界を つくり、既存樹木を活用しつつ多種類の樹木を植樹し、既 存の井戸水を利用した循環型のせせらぎを設けるなど、近 隣住民にも楽しめる庭としている。 この住宅は断熱性能のHEAT20G2 Ua値の基準を満た している。自然風による重力換気を採用、庭園樹木による 蒸散作用、深い軒の日射遮蔽、太陽熱による給湯・土間蓄 熱床暖房など自然エネルギーを活用している。 内部空間には省エネのベンチ付メースンリー・ヒーター があり、それを中心にリビング、土間キッチン・ダイニン グが配され、穏やかな温熱環境をつくり出している。外部 は雨落ち、割竹の通気竪坑で水と空気を土中に送り込み、 森と同様の水の循環環境を構築しようとしている。 いかに自然の恵みを暮らしの中へ取り込むのかを具現化 したこの住宅を評価するものである。 (筒井 裕子) |
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