岐阜市立長良小学校および長良公民館岐阜県岐阜市大字長良字町裏259他 |
配置計画は、居ながら建て替えのこともあり、南側に校庭、北側と西側に建物という従前の配置構成を踏襲し、北側と西側の外側に、この地域の学校給食センターと公民館を配し、校舎との間に外部動線を通し、学校と地域施設との交流を促そうと目論でいる。
校舎は二階建てで、二階に多目的教室を巧みに組み込んで教室を配する。教師コーナーと教室と多目的室の関係がよく考えられ多様な利用を誘発している。また、一階は階高を高く取って、空間的にゆとりのある特別教室や、教員関連の諸室を設けている。これらの諸室や広間や通路や階段は、視覚的に相互に結びつけられるように巧みに仕組まれており、風通しをよくすることと同時に社会的な意味での解放性が期待できるだろう。例えば様々なハラスメントやいじめについての防止効果も期待できるだろう。 多目的教室を設置する計画(オープンプランスクール)の実現と創造的な運用のためには、設計段階からの現場の教員の参加が欠かせない。数多くのオープンプランスクールの経験を持つ設計者と建て替えであることの好条件が重なって、素晴らしい結果を得ている。ただし、建築的にはデザイン的な手数が多すぎることが気になった (大野 秀敏) |
1947年に長良国民学校から岐阜市立長良小学校に改称されたこの学び舎は長い歴史を有している。小学校は多くの子供たちにとって初めて経験する建築で、記憶の空間となることもあるだろう。2020年に完成した建て替え校舎も、新たな時代において多くの子供たちが学び、空間の経験を刻むに違いない。 普通教室は2階に配置され、1学年2クラスという規模を活かして、多様な状態を受容するコモンと呼ばれる共有の場を囲むように計画されている。教室のコーナー部は、コモン、テラス、教員エリアと接点を持ち、ハイサイドライトからは自然の光が差し込む。アリーナと階高を揃えたことで1階はのびやかな空間となり、中間階に溜まりの場となるメザニンフロアーを創出している。多様な要素との接点を持つ教室、不均質な場所、光、風など、子供たちの感性と活動を深慮した計画は、日々多くの時間をすごす環境教育の場として、これ以上にない教材にもなっている。 一方で、本作品は「岐阜市立長良小学校および長良公民館」であるが、公民館との接点に計画されたコモンがどのような効果をあげているのかを窺い知ることができなかった。今後の使われ方に期待するところである。 (金子 尚志) |
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