瀬戸市立にじの丘学園愛知県瀬戸市中山町1 |
学校が地域おこしの起爆剤になる可能性を示したところがこの計画の注目点だ。 少子高齢化が進む瀬戸市の郊外、6校の小学校と2校の中学校を一か所に集めて再編するという計画、さらに地域に開かれた利用法も織り込むことが求められた。この複雑なプログラムを丁寧にまとめているところが高く評価される。 生き生きとした子供たちの姿を見ていると小さな小学校ならではの良さもあるが多様性や活気という点では集合するメリットも大きいのがわかる。少子化で学校が集約される時代のなかで学校建築の在り方を示す一つの解を示しているように感じた。 集合を単なる寄せ集めではなく建築的に一つにまとめた点が計画の目玉と言える。 デザインの手法というよりここではその建築計画的プログラムが評価される。 高低差のある難しい敷地を瀬戸市という焼き物の街を象徴する登り窯に見立てた階段状の大空間と交錯する廊下を路地に見立てたちょっとした街のような雰囲気にまとめられている。平面図は直線的でもう少し変化があるほうがよさそうに思ったが実際は敷地の高低差があるので予想以上に変化があるインテリアとなっていた。 中でも階段空間は圧巻、中庭や図書コーナーがつながり普通の学校にはない変化と迫力が実現させたことはすごいことだ。わずか1年の設計期間でここまでまとめたことは大いに評価されていい。 子どもたちには普通の学校とは全く違う空間が大人気、ほかの地区からも入学希望が増えているという。 |
この校舎は学校教育だけでなく地域の人たちにも利用されるように作られている。学校建築を地域の公共施設としても利用できるのは望ましいが計画上も運営面でも難しいことだ。共用できるように織り込まれたスペースが今後どう利用されていくのか興味深い。 小学校と中学校が同居することで様々な相乗効果が生まれる。一方で難しい問題も発生する。そのあたりを建築計画で巧みに解かれている。 敷地の高低差を擁壁ではなく法面で処理していることで室内から見える景色が全て緑になっているところが心地よい。こんな環境で過ごした子供たちが将来どんな風に育っていくか楽しみだ。建築の力が見直される時代に期待したい。 外に目を向けると太陽光発電パネルを設置するという時代の要請にこたえた外観が特徴的だ。コンクリートの直方体から屋根のある形態になっていくのは理にかなっている、10年毎に防水をメンテしないといけないフラットルーフが長く続いていた方が不思議だ。片流れ屋根という学校では見慣れない形が学校のイメージになっていくのかもしれない。 (藤吉 洋司) |
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