トヨタ紡織グローバル本社

愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地
 このプロジェクトは、日本のものづくりの成長を支えてきたグル-プ企業のルーツとなる企業が、創業100年を機に更なる成長、革新を目指して、“外に開かれた人のための場をつくる”をコンセプトに、創業の地で具現化したものである。
 高いセキュリティが求められる本社社屋と工場群のセキュリティエリアを見直し、幹線道路に面するエリア一帯を開いた。導入路を進むと右手幹線道路沿いに歴史展示館、正面には緑地帯、奥にはこの企業のルーツである織りの縦糸と横糸をイメ-ジしたファサ-ドの立体的な外装ルーバ-と低層部のノコギリ屋根が印象的な社屋が緑に囲まれ、配置されている。緑地帯はマウンドを形成し程良く内外を遮り、既設樹木を保存しつつ地域植生に適した樹種を植栽することでまちにも緑を提供しており、地域のランドスケ-プとなっている。
 社屋の内部空間には、ゲストエリア、イノべ-ションエリアなど、人が場所に限定されることなく知的創造活動を行なうあらゆる場にすべく、吹抜に9m跳ね出した円形のディスカッションスペ-ス等様々な仕掛けが施されている。
 社屋ファサ-ドのアルミ製外装ルーバ-は、眺望を確保しつつ南面日射を制御する装置となっており、熱負荷低減に寄与している。ノコギリ屋根の屋上緑化、エアコン屋外機への散水、太陽光パネル、蓄電池の最適制御、雨水利用、自然通風、自然採光など、この社屋は省CO2の先導的で多様な工夫が見られ、ZEB・Readyも達成している。
 事業継続に応えるべく構造躯体の長寿命化、安全性確保のための制震構造、設備機器の耐震グレ-ドSなど建物の継続的利用も確保されており、省エネ、創エネ、安全性、持続性等、総合的に評価できるものである。
 機織機械から始まり自動車の内装材作りが主要な事業となった企業の本社ビル。この会社のイメージを建築としてどう表現するかが大きなテーマとなっていると応募資料を拝見してすぐ理解できた。また印象的な外観や一般的なビルにはない要素がいっぱいのインテリアを写真だけでなく一度実物を見てみたいと感じた。
 実際に見てもビル南面ガラスカーテンウォールの前面に設けられた織物を連想させるアルミルーバーとのこぎり屋根形状の下屋部分のデザインに企業イメージがわかりやすく表現されているのがわかった。アルミルーバーは日射を和らげる効果も十分あり時代の要請に応えている。のこぎり屋根から採り入れられた光は天井面に吊り下げられた布製のルーバーで柔らかな光となってエントランスロビーに降り注ぎ心地よい。
 オフィス部分はオープンで広々として開放的な作りでさらに紙媒体の無いすっきりした空間が広がっている。机の上にパソコンだけが置かれたシーンは普段本や図面に囲まれて働く自分には別世界に思われた。ものに囲まれていないと落ちつかない気がするのは時代遅れなのかもしれない。
 このビルは印象的な外観はもとより外部の庭園を始めインテリアや空気環境など隅々まできめ細かく配慮され美しく仕上がっており多くの人を迎え入れるにふさわしい建築となっている。
(筒井 裕子) (藤吉 洋司)
主要用途 事務所
構  造
鉄骨造
構  造 地上7階、塔屋1階
敷地面積
103,598.42㎡
建築面積
6,454.45㎡
延床面積
28,504.88㎡
建築主 トヨタ紡織株式会社
設計者 竹中工務店 
施工者 竹中工務店
詳細は応募者のホームページを
ご覧ください。

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