大同大学 X(クロス)棟

愛知県名古屋市南区滝春町5-13
 建築土木を中心とする学科の校舎である本施設は幅80m奥60mと非常に大きな平面を持つ4階建ての校舎であるが、内部に地上までつながるボイドな屋外空間を備え、すべての居室に採光・通風を可能としている。
 また、全体はロの字型の動線でループ状に関係づけられ、全てが均質で「奥」が無い民主的?な 建築であり現地審査を終えてから気が付いたが、このような「型」の校舎は他に例が無いのではないかと考える。
 そのうえでループ状の動線は、単なる移動空間にとどまらず随所でさりげなく膨らみ、さまざまな場所で学生相互の密接なコミュニケーションが誘発される仕掛けが施され、限りある床面積を有効に活用し教育・研究の場に相応しい建築としていると考える。
 上部階では研究室とゼミ室は廊下を介して透明性高く一体的に構成され、さらにゼミ室はテラスなどの屋外空間に連続させることにより、快適で「接地感」ある快適な場所となっている。
 すでにゼミ室ではシンクの傍には調理器具などが持ち込まれ、「生活の場」としての匂いを感じさせ、自分の学生時代を思い出した。
一方、外観に関しては、深すぎるとも思える上層2階の庇の構成と、下部2層の連続したカーテンウオールには違和感があった。
 特に低層部・西面に関しては「開かれた大学」といった、理念だけでは説明がつかず、夏の西日対策を、より高い次元での建築的解決を見てみたかった。
 現在は残念ながらコロナ禍により、学生相互の自由で闊達な活動が制限されているが、アフター・コロナにおいてはより強力に「道の建築」としての特性が活かされることを期待する。
水平線を強調した建築に筒状の箱を貫通させたインパクトのある外観が印象的だ。筒の断面は大きなガラス面となっており既存のキャンパスにつながっている。
 名古屋市南区の平坦な敷地、キャンパスの環境としては恵まれているとはいえないがこの建築ができたことでずいぶん雰囲気が変わったと思われる。
 この校舎は建築学科のために建てられたもので建築教育のためのよき教材になるように様々な要素が組み込まれたつくりとなっている。内部は吹き抜けの大教室を囲んで回遊性を持たせたプランで様々なシーンを体験できる。使われている素材はコンクリートと鉄骨、ガラス、木材などディテールも含めて学べるように配慮されており学生はここで学んだ体験が将来きっと役に立つに違いない。
 教官の部屋はオープンなつくりになっており学生とのコミュニケーションが図りやすい。
 こんな環境で建築を学んだら自分はどうだったか、今の学生がちょっとうらやましく思えた。
 広い敷地がないとこういうのびのびとした空間は作りにくい。近年キャンパスは市街地に高層化される傾向があるが建築的な面白さという点ではやはりゆとりのある敷地条件が望ましい。こういう建築が増えていけばより魅力あるキャンパスになっていくに違いない。
(佐藤 義信) (藤吉 洋司)
主要用途 大学
構  造
鉄骨造
構  造 地上4階
敷地面積
13,767.96㎡
建築面積
5,198.51㎡
延床面積
15,391.69㎡
建築主 学校法人 大同学園
設計者 株式会社 日建設計
一級建築士事務所
施工者 株式会社 大林組 名古屋支店

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