有松再生プロジェクト所在地 :愛知県名古屋市緑区 |
今年から審査に参加させていただくこととなりました。
私自身、住宅の設計の経験は少なく、今回、住宅を拝見出来ることを楽しみに現地に出向きました。有松の旧東海道沿いの土地に建つこのアトリエ+住宅は、土地取得から着工まで約三年半、さらに工事完了まで10か月を要したプロジェクトであり、建築主および設計者の有松への絶えることのない想いが結実し、誕生した。 旧街道沿いにはアトリエおよび車庫を有松の街の景観に合わせ軒高を抑えて計画し、歴史的景観を形成する中で調和が難しい車庫部分は入り口をスライディングする木格子とすることで街並みと破綻なく納めている。 全体の構成は旧街道沿いのアトリエと奥の住居との間には坪庭を配し、住居、そして南の庭まで連なる構成とすることで明るく、現代的な雰囲気を醸成している。 住居部分は建築主の明快で理知的な「暮らし方」に対する要望と、それに応える設計者による丁寧な対応が感じられた。この住居の特長としては1階では、アトリエから玄関にいたる軸線を、さらにキッチンとユーティリティを一直線に西側に計画し、さらにキッチンおよびユーティリティーではリング状の動線を確保することで、「淀み」の無いプランニングとなっており、また2階では浴室・脱衣室・広いクロゼット・洗面洗濯室 一番南側にはスカイライトを備えた物干場とモノ・ヒトの移動を最小限とする、合理的で巧みなプランニングとなっている。 この住宅の骨格は、ただ単に一戸の住宅の平面計画にとどまらず、世間に良くある間口6m弱程度の間口の住宅における一つの典型として十分に有効なプロトタイプと成りうるものと評価した。今後、まだ小さいお嬢さんの成長と共に、ますます「輝く家」となることを予感させる住まいである。 |
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(佐藤 義信) | ||||||||||||||||||
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