垂井町役場所在地 :岐阜県不破郡垂井町宮代2957-11 |
人口2万7千人余の町役場にしては大きな庁舎である。RC2階建ての旧商業施設を庁舎にコンバージョンした作品。旧施設の躯体部をそのまま活かし、その外周にアウトフレームを増設し、これによって外見を一新するとともに耐震安全性を基準の1.5倍に高めることにもなった。屋上スラブを繰り抜いて「環境井戸」と呼ぶトップライト・吹き抜け空間を4カ所に設け、内部空間の採光、通風性を高めている。アウトフレームによって旧来の外壁面も開放でき、さらに「環境井戸」からの採光も加わって内部は面的広がりをもつものの開放性に富む明るい空間になっている。正面エントランス部に導入通路ともなる歩廊を増設。その壁面はアウトフームと同様、地場産の杉材を型板とした美しい打ち放しコンクリート壁面を作り出し、「環境井戸」の壁や内壁面、天井などにもふんだんに地場産の杉板が用いられている。
また、東北部に2階建てのホールを新たに増設。その外壁面は既製のアルミ型材をランダムに配置して、「水のまち、垂井」を想起させる水の揺らぎを求めている。そのホール1階は前面を全開放し、再生木のテラスを設けて内外一体とするイベントなどに活用、2階は緊急避難時用の電気、給水施設を設置している。 旧建物のコンバージョン事例として、外観、内部ともに一新された注目される事例である。ただし、旧の商業施設の規模をそのまま踏襲したこともあり、エントランスホールや二階の展望ロビーなどにやや持て余しのスペースが読み取れる。でも、これらは今後、町民に開かれた庁舎として町民のさまざまな活動の場、拠点としての活用も可能である。また当施設の西側には文化会館があり、道路を挟んだ東側の既存建物も行政施設とするなど、垂井町はこの一帯を「シビックコアー」として行政・町民活動の交流の核としてにぎわいを創出する計画という。これに伴い、上記の内部余空間が十分に活用されることを期待したい。 |
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(吉田 純一) | ||||||||||||||||||||
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