グローバルゲート所在地 :愛知県名古屋市中村区平池町4丁目 |
建築設計の思想も手法もスタイルもある程度まではパターン化されて、設計作業プロセスがある意味でステレオタイプ化されてしまったとも言える時代になった。累積された事例データなどからスタート時点でテーマや問題が明らかになっていると考えれば、設計とはそれをいかに巧みに解決するかというテクニックの問題になってしまうのかもしれない。だがそれでもなお更にクリエイティブなオリジナリティや洗練されたデザインクォリティを求めて挑戦は続けられていく。デザイン分野に限ったことではないが、創造から充実へ、骨太から微細へ、成熟した時代が要求するクールなテーマシフトを感じる。
周辺の再開発整備が整ったJR名古屋駅からそれほど離れていない立地で、空地の有効活用が企画された。時代をさかのぼった状況をたどりながら、新たな賑わいを創り出そうとするものである。従って建築をつくるという範疇を超えて、街区をつくるという極めて複合度の高い発想が求められている。 概略的に言うと、二つの高層棟の間に低層棟が挟まれており、低層部は周囲をめぐる街路とのつながりを求める商業ゾーンとコンベンションゾーンに、高層部はオフィスとホテルになっている。低層部分はアトリウム化されたスーパースケールな内部空間ではなく、エコロジーやヒューマンスケールを指向した賑わい空間が仕掛けられている。テラス的な屋外スペースとつながることが可能で、多くのアクティビティを誘発する可能性を持った楽しい演出に溢れている。街の一部としての人の流動が至るところで意識されている。 高層棟のホテルゾーンにおいては、中心部を吹抜とした平面形になっているため客室レイアウトがしやすい反面パブリック部の自由度は抑えられたりする。数多くの相反する問題があったに違いないが、そんなことは微塵もなかったかのように解決していくところも見せ場の一つかもしれない。 まちづくりの視点から人の流動や賑わいを定着させていくのは時間のかかることかもしれないが、新たな街のゲートとしての役割を期待したい。 |
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(関 邦則) | ||||||||||||||||||||
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