ラグーナベイコート倶楽部 ホテル&スパリゾート所在地 :愛知県蒲郡市海陽町2−9−1 |
ここは系列経営施設の中でもフラッグシップ的な位置づけにあり、スケールもクォリティもかなりハイグレードなものが指向されている。完全会員制ホテルとなっているので利用可能者は限定されているが、遮るもののない海に面したロケーションや巨大な全景ボリュームを見ればパブリックな景観要素とならざるを得ない建築と言えよう。全客室オーシャンビューとするために海岸線に沿って片廊下客室を孤状リニアに配置したことによってユニークな建築の骨格が決定づけられている。海に突出するような個性的な造形は、海上を滑りゆく船からの視線を意識したランドマーク的な性格を感じさせるものであるが、特殊な自然環境とのマッチングにトライした結果であることも理解できる。 陸側からのアプローチは必然的に壁のような建築に向かって進むことになるので、非日常的なサプライズ演出を仕掛けることになったのだろう。やや殺風景なアクセスを通過した時点で現われる大波をモチーフとした動きのある造形のゲート、樹木に挟まれたアプローチから垣間見えるゴージャスなエントランス、風除室を抜けた瞬間にビスタからパノラマに切り替わって拡張するクリスタルな空間、そしてインフィニティプール越しに見通す三河湾と空中に浮かぶブリッジ形状の客室棟のドラマチックな図像に息をのんだところが入館時のクライマックスシーンになっている。夜景も効果的にデザインされている。 館内のインテリアはデザイナーが手掛けており、海から想起される水や波を共通のモチーフにしているのでクールでさわやかなシーリゾートらしい印象を受ける。どこにいても海とのつながりが視覚的に把握できるようにデザインされており、利用者にとっても快適な滞在時間となるのだろうと思われる。 高級と通俗の間には紙一重的なところがあるかもしれないし、個人的な好みの相違のような感覚的な判断も避けがたいのかもしれないが、ここでは洗練されたデザインレベルが保たれている。オーナー、設計者、施工者がポリシーやコンセプトを共有できたことも良い結果を生む一因だったに違いないと思う。 |
||||||||||||||||||||
(関 邦則) | ||||||||||||||||||||
|
|