名古屋市営 金城ふ頭駐車場所在地 :愛知県名古屋市港区金城ふ頭2−7−2 |
元々は産業・物流拠点のイメージが色濃い名古屋港金城ふ頭は近年、JR東海リニア・鉄道館や「あおなみ線」乗入れ開業で観光・行楽ニーズが高まり、一昨年春のレゴランド進出を一大契機としてふ頭エリア再開発が急展開を呈している。それを支える交通インフラの要となる巨大公共集約駐車場が本件応募作品である。 何しろ5,000台収容・300m×100m平面の稀代の巨大駐車場であり、円滑な駐車処理機能はもとより、その巨体でどう心優しくエリア来場者をもてなすか、ハードルはすこぶる高い。高速道を背負う北面300mをフルに高効率で安全・明快なダイレクトスロープに供し、南面や西面にはヒューマンな緑化や快適性を施して特に3階レベル南西コーナーに歩行者大動脈の象徴的な中継空間を演出している。ともすれば漠々たる各階大駐車平面も、小吹抜+ブリッジ状の歩行動線2レーンの導入によりほどよく分節されている。 中でも最も出色なのは、レゴランド方面の開放型商業・交流エリアに面する全長90m×高さ18mの奥行感ある巨大緑化壁面である。都市インフラたる巨大公共駐車場の建設・運営を担う民間事業主体の、コストやリスクの壁を超えての英断と実践を何より評価したい。四季を2巡り以上経てなお厚く折々変化する緑化は健在…従前の道路対岸の豊かな既存照葉樹林の著しい後退を立体的に補完して風景継承するという心意気やよし、である。 実は評者自身、設計組織勤務の最終盤にレゴランド進出を軸にした当エリア再開発構想に携わり、一環としてこの巨大駐車場に係る諸スタディーで難題認識している分、供用開始されて2年半余り、脈々・粛々と「いい仕事」が提供され続いている実感がありがたく、建築主・設計・施工三位に心からの賛辞を表したい。 |
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(鈴木 利明) | ||||||||||||||||||||
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