道の駅 雨晴

所在地 :富山県高岡市太田地内
 当施設は、海越しに立山連峰を望む富山湾沿いの雨晴海岸にあり、周辺一帯は「奥の細道の風景地―有磯海」として国名勝に指定されている。眼前には源義経が雨宿りしたという義経岩があり、大友家持や松尾芭蕉も訪れた伝承もあって歴史ロマンにも溢れている。
 湾岸近くまで迫った山裾の東西約200m、南北幅は狭いところで5m程という変形な敷地にあって、比較的奥行がある東西両端の2か所に駐車場を分散させ、中央に建物を配置している。東駐車場からのアプローチは旧の台地を活かしながら連続階段と長いデッキを進みながらの展望も楽しめる。
 建物は、白を基調としていて海の青さと対比させ、清潔感や軽快感も溢れている。西壁面をやや湾曲させながら上方にせり出させていて、一見、豪華客船をイメージさせる。(担当者によれば、特に船を意識したわけではないというが…)。1階の西側に観光案内所やトイレをおき、2階に郷土物産品の販売コーナーと喫茶軽食コーナー、海側は全面ガラス張り、3階は大きな展望デッキとし、2,3階ともに眼前に広がる海岸の眺望を楽しむことができる。3階の西側には多目的スペースも取られているが、ここも全面ガラス張りである。道の駅にふさわしく、乗り合いバスの待合所やサイクリング用自転車置き場なども併設され、夜間の照明にも意を凝らしている。
 この他、海岸沿いにあった電柱の地中化や氷見線の線路越にある義経岩へのアプローチを考慮した横断歩道や踏切、さらに前面道路からの駐車場への導入法も配慮し、周辺環境や景観を十分に考慮、一方ではアルミや鋳物、石崎石など地域特有の地場産品の採用などにも眼を向けている。
 当施設は限られた特異な敷地をうまく活かしながら、優れた景観に溶け込み、その存在がより良好な景観を生み出していて、周辺環境や歴史ロマンをより一層高める誘因にもなっている。建築と環境・景観、地域との関わりなど、多岐にわたり高く評価できる作品である。
(吉田 純一)
主要用途 道の駅
構  造
鉄筋コンクリート造
階  数 地上3階
敷地面積
4,095.54u
建築面積
421.51u
延床面積
977.39u
建築主  高岡市
設計者  株式会社 創計画研究所
設計監修  株式会社 アーキヴィジョン
 広谷スタジオ
施工者  北栄・大栄特定建設工事
 共同企業体

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