瑞浪北中学校所在地 :岐阜県瑞浪市土岐町973 |
3中学校の統合校として、新たな地域のシンボルとなるスーパーエコスクールである。夏冬の寒暖差の激しい地域において、自然と共生する温熱環境をコントロールできる性能を持った校舎だが、スーパーである所以は、単に機械技術を盛り込むだけでなく、みんなでエコロジーを実現するべく、「学校の取り扱い説明書」を作成し、設計者による環境教室を開催し、各教室でのエネルギー使用状況をチェックするタッチパネルを設置し、クールチューブや断熱材等の建築技術を体感できるように設えて、校舎を教材として、生徒達の手による「考える」エコスクールであるということによる。 2階建ての南棟、3階建ての東・北棟の3校舎棟は、山を背景に南斜面に馴染む様に少しずれた並行配置をとり、その間のそよかぜの森に体育館の湾曲した面に沿って風がさそい込まれる仕掛けをもつ。また、昇降口を入ると、右に職員室、左にオープンなラーニングコモンズがあり、生徒達の主動線として3棟をつなぐように吹き抜けが連続する中央階段が設けられ、そこは内外に抜ける視線と風の通り道となっている。このように通風を確保することによって夏の酷暑もゆるやかにのりきったとのこと。審査に訪れた10月の始め、窓が開け放たれた校舎内には合唱の声が響きわたり、葉のこすれる音とともに心地よい風が吹いていた。 校舎内部には岐阜県産材、瑞浪産材の木材がふんだんに使われており、正門に面する外壁は瑞浪の土の煉瓦積、そして、この地からクジラの化石が出土したこと、つまり海だった土地の記憶をとどめるために体育館前のピロティ床には生徒が参加した製作ワークショップによるクジラのレリーフが施された。これらの様々な地域の物語が織り込まれた建築の断片は生徒の記憶に刻まれることになるだろう。 持続可能な社会をめざして、子ども達の意識を楽しく導いてくれることをこの学校に期待したい。 |
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(加茂 紀和子) | ||||||||||||||||||||
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