岐南さくら発達支援事業所 よりどころ所在地 :岐阜県羽島郡岐南町徳田7−19−1 |
40年前になりますが、C・アレキサンダーは「パターン・ランゲージ」で、人間の日常の動作や行動から意識的・無意識的なものも含め、「心地よい」と感じる環境要素を分析し、ヒューマンスケールの普遍的なものを、「小さな人だまり」などとカテゴライズし、数多くをパターン化(253パターン)して都市や建築の設計に活かそうとユニークな提案をしました。 それは、建築計画的な事象を図形をもとに形態的に表現しようとする試みでもありました。そして人間の動作・行動には共通の「傾向:Tendency」があり、この「傾向」に不整合な形態は人が暮らし生活する上で様々な「矛盾:Conflict」が生じ、この矛盾をより少なくしてより良いパターンを発見し塗り替えてゆこうとする、人々に開かれた設計手法でもありました。 先の「小さな人だまり」は、エドワード・ホールの「隠れた次元」などが参考にされた場のパターン化で、当該作品で高さの異なる腰壁が作る場と、その場の中での発達障害者への学習環境やコミュニケーション形式のあり様などは、まさにその特殊例と言えるでしょう。 工夫されて配置された腰壁と浮いて置かれた斜めの全面一体の天井(屋根)は、図としての場と地としてのパスによる平面構成を作り、施設の利・使用者の各々の視線や視覚の相異に配慮され、「人だまり」ごとに異なる空間のボリュームも確保され、より立体的で動作的な施設計画が試みられているとも言えます。 しかし、コンセプトを構造体(かたち)にまで明確にしようとするあまりに、施設の利・使用者の各々の動作・行動の<Tendency>に対し、壁に取り付けられた「木枠のエッジ」などが<Conflict>として、「ヒューマンスケールの優しさ」を欠いた不整合なディテールになってしまっている箇所があり、施設の性格から考えても、デザイン的処理は十分条件で、必要条件としての建築計画への今一歩深い配慮が必要だったでしょう。 |
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(車戸 愼夫) | ||||||||||||||||||||
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