H/h所在地 :愛知県名古屋市 |
名古屋市内の閑静な住宅地。周囲を道路から少し控えて建つ大屋根の家である。敷地は二方向を道路に接し、わずかに高低差がある。内部では車庫レベルも含めると、スキップしながら4層の床レベルが設けられるという複雑な構成をとるが、外観は一辺が切り落とされた寄棟屋根が矩形の平面を覆うというシンプルさである。 このボリュームに「穿つ」、「欠き取る」など様々な操作を加えて外部空間を挿入している。挿入された外部空間には植栽をはじめ、変化に富んだウッドデッキ、小さなバルコニーなど様々な外の要素が配され、住空間は「内のような外」、「外のような内」に溢れている。プライバシーを計算した視線の抜け、多様な光の入り方、計算された緑の配置に加え、開口部の大きさ、高さも場所ごとに工夫されていて飽きさせない。季節の移ろいに応じて、あるいは一日の陽の傾きに応じて様々な表情を見せるであろう居住空間に好感が持てた。 大屋根とスキップする4つの床レベルの間で織りなされる天井高の変化が楽しく、中央(リビング)ではダイナミックに高く、あるところでは小屋裏の様に低い。成の大きな垂木を室内にあらわした空間は力強く、どこか包容力を感じさせ、大屋根の下にいることを実感するのである。 南以外は寄棟の軒先を道路方向に向けているため、街並に馴染んでおり、控えめな佇まいが好ましい。矩形の下の内部空間が充実しているだけに、この矩形の外、道路との間の領域にもう一工夫があればと思わせた。 |
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(尾崎 公俊) | ||||||||||||||||||
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