こやまかわせみクリニック 所在地 :岐阜県本巣郡北方町高屋字林浦道北1561−1 |
平面プランを初めて見た時、従来の医院建築で見られる多様な用途を持つ諸室を、整然と並べる機能重視の枠から外れ、自由奔放に楽しく、面白く、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような平面計画に興味が湧いた。 クライアントからの要望は“元気な時にも立ち寄れるカフェ”のイメージで落着きと賑わいのある「新しいまちの居場所」を設計して欲しいとの事。 外観は、杉羽目板張りと、大きなガラス面の無機質的アルミカーテンウォールをリズミカルに組み合わせ、まるでおしゃれな一つの小さな街並みの様な佇まいの構成となっている。角地よりパークパスと名付けられたアプローチは、住民が気軽に敷地を通り抜けでき、風防室は診療時間外の待合いカフェコーナーとなる。内科、小児科の西洋医学と、漢方、鍼灸を取り入れた医療を実践するクライアントは、子供から老人まで多様な患者を受け入れるため、待合室にはそれに合わせて多様なコーナーが設けられている。 受付事務、診療、処置、レントゲンといった諸室を小屋という単位に分解し、離散的に配置。その間の外気に抜ける空間は光と風を取り入れ、植木や薬草が植えられた小さな庭が眺められる。不規則に配された諸室により廊下部分は多様な患者が思い思いの場所で自由に時間を過ごす待合スペース(クリニックコリドー)となっている。 各小屋は片流れ勾配屋根の木造在来軸組工法で、コリドーをカバーする鉄骨造の大屋根は、各小屋の棟木の上部に固定され、上部から射し込む光によりコリドーに開放感を持たせている。又、天井は鉄骨梁に架けられた米松集成材の表し垂木掛けとし、連続感を持たせている。各諸室の入口にはヨーロッパの街灯風な照明器具でコリドー(中廊下)に地中海地方の異国の路地、古い街並みを想い起こさせる。 見学時にも子供から老人まで、診察までの退屈な待ち時間に本を読んだり珈琲を飲んだり、色々な場所を利用しているのを観ると、クライアントの要望に叶った建物だと評価できる。 |
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(山田 貴明) | ||||||||||||||||||||
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