ATグループ本社北館・南館 所在地 :愛知県名古屋市昭和区高辻町6−8 |
幹線道路のコーナーに位置する四つの街区を対象とするビル群。そのうちの長辺に面した二街区が当該応募作品の対象となっている。そこから奥まった他の区画は平面駐車場と他設計者による建築(建築意匠コードをかけている)となっている。中間に存在する公道は私道的な性格となっている。 応募作品のデザインの特徴は、長辺に面した二街区全長140mに渡るガラスショールームを構築する木構造と9系列社の事務室を内包する事務棟の立体構成だと言える。全体の設計に避難検証をかけている。 交差点に向けてうねるように天井高さを高くして存在をアピールしているショールームの屋根を支える木造梁は、信州産唐松集成材にモルタルバーを張って燃え代で包んだ大断面構成になっている。木造を視覚的に強調したいという思いと、梁成の全高を露出させないで圧迫感を抑えたいという思いが交錯する。梁側面に照明を線状に設置しているのは、夕刻のショールームの外観に強いインパクトを与えている。梁の外端を受けるのは削り出しの細いH断面スチール柱でガラスの風圧受けリブを代用している。木梁と鉄柱の接合パネルゾーンは火災時の熱伝導を防ぐためコンクリートの塊を入れてある。まだまだ規制の多い木造使用を見事にクリアしている。 事務棟は、系列と言えども販売競合関係にある9社の事務室を内包するため、干渉バッファーゾーンとして吹き抜けの中庭を設けている。専用部分と共用部分をミックスしながら、自社ビルならでは心地よい余裕のある事務スペースを実現している。 その他の部分でも周辺環境の特性を読み取りながら、デザインに反映させている。全体にわたり大胆なアイディアと細心のディテールデザインが相まって高度に洗練された建築が完成している。 |
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(関 邦則) | ||||||||||||||||||||
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