光庭の棲所在地 :愛知県名古屋市 |
名古屋市の落ち着いた住宅街の中に佇む住宅である。前面は駐車場兼石敷きの前庭があり、それが延長されて建物内部に階段状の石積み光庭が配置されている。住空間はこれを中心に5層のレベルで構成されているが、寝室や水回りなどを除いて全て吹き抜け空間とオープンに接しており、片持ちの渡り階段でそれぞれがつながれている。 光庭には中・低木の植栽が配されており、トップライトから落ちてくる光に陰を落としながら、自然環境の中にいるような空間性を醸し出している。玄関からの石積みを上がるとオープンなキッチンカウンターへ至るが、この場所は外部からの寄り付きも意識されたセミパブリックなスペースとして設定されている。 ここから渡り階段を通して反対側のリビングや寝室にレベルを変えながら繋がっていく。光庭を囲んだこのレベル差が生活場の質を緩やかに規定し、同時にプライバシーのヒエラルキーを上げている。外観に関しては、1階部分はガラス面のオープンなデザインとなっており、前庭を通って光庭の内部に至る寄り付き易さが演出されている。 2階部分は木板張りの無窓なファサードとなっているが、前面道路の反対側は学校施設の体育館があり、光庭の空間性を強めるため外風景のノイズを敢えて消している。 住宅内部に植栽を有する光庭を取り入れるという生活コンセプトはかなり奇抜な発想であるが、実際にはそれほど無理を感じさせない、むしろ光と潤いを十分に感じる心地のよい豊かな住環境が出来上がっている。 | ||||||||||||||||||
(川普@寧史) | ||||||||||||||||||
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