所在地 :長野県長野市稲里町下氷鉋字上街渠1163−1 |
善光寺の門前町長野市、真新しいJR駅から南へ約5q。途中、伸びやかな犀川を越えると“クール・ミニマル”な建築が見えてくる。ガラスの直方体に、ランダムに取り付く“浮遊するバルコニー”これは、計測実験の場、リフレッシュ空間、避難・消防動線も兼ねる。バルコニー手摺壁から直角に折れ、軒天から室内天井(対流・輻射併用空調内包)まで、開口率の差異による“モアレ調白色アルミパンチングメタル”が同面連続。 エントランスに向かう、浮遊・断続・凸凹・ズレは、より際立つ。ジャズのリズムにも似て歯切れ良い。周囲の街並みの景観に、イノベーションの風を送る。バルコニー内に立てば「時刻・天候・季節により、ニュアンス豊かに色調を変える、山並みと大きな空」を、四周で望む。外周部にコアを分散配置した正方形の内部主空間中央には“オープン・シームレスの仕掛”トップライトの拡散光の下、グリッドによる規則性の中「螺旋状6層吹抜に、ずれて浮遊する台形踊場」この中間階は、くだけた気分で打ち合せできる大小のコーナー、リフレッシュスペースでもある…立体的な視線の抜け具合が秀逸。 1階から2階へ、上で狭まる大階段は、プレゼンテーションにも活用。建築は「機能分化」や「整然」が行き過ぎると、肩がこる、息が詰まる、ひとに緊張をもたらす。寄り道しながら散策する様な、この自由な雰囲気は、近い将来、作業机レイアウトにも変化をもたらすだろう。 先端企業は「次世代戦略につながる研究開発」に、鎬を削る。一方、地域拠点都市の側は「教育費を投じて育てた優秀な人材が、育ててくれた地域に戻って来ない」というジレンマを抱えている「東京一極集中による日本社会の歪み・弱体化」への反省。当事業は、大災害時のリスク回避、研究者のモチベーション活性、ワークライフバランス、ストレス緩和策として、ひとを癒す自然環境を求め、又、戦後、分割されたグループ企業との連携強化、企業資本が地域に根付き、地域活性化・蘇生に貢献する為、東京三鷹市から、グループ企業敷地内へ“次世代水準研究開発拠点の移転・統合”これら今日的課題への有効な回答。 |
||||||||||||||||||||
(笠島 淑恵) | ||||||||||||||||||||
|
|