所在地 :長野県上田市天神3−15 |
この建物は中心部分の「芝生広場=原っぱ」を300mφの大回廊によって取り囲み、東南側に劇場ゾーン、西北側に美術館ゾーンを配置し、内部化された回廊の1/2位の部分で繋ぎ、その回廊沿いの広場側に子供アトリエ、アトリエ、和室、会議室、スタジオ群を個室化し、川側に企画、常設展示、ミュージアムショップ、市民アトリエ、多目的ホール、カフェ、大ホール、大スタジオ、小ホールを配置した延床17,635uの巨大な施設である。 かなりクラシックな配置を持った計画案で、他の建物とも坪単価も、建物ひとつひとつの解釈の難しさも比べものにならない。外壁のコンクリートの使い方、内部の木ルーバーの選択、そして1650席のホールの各部分からの視線等々は評価できる。実際に行ってみると、写真からくる重たさよりやわらかく感じた。建物のレベルの高さの割には審査はかなり難航した。 クラシックな配置に対して、エンドからエンドの長さがどうか?こんなに大きな施設が必要なのか?寒い地域での外部の庭はうまくいくのか?ランニングコストは大丈夫か?等々議論が交わされた。動線部分や、色々なところを小さくして総面積を縮め、二つの階段の内側に子供アトリエやスタジオ等を入れ、2階の展示ロビー、ホワイエの川側も含めてもう一つのリングを作ると、1、2階のアクティビティを活性化出来る。そうすることでこの建築家が持っているディテールや、素材に対する考え、空間の緊張感をもっと出せたのではないかと建物を歩きながら感じた。意見が分かれたので審査員長判断で、これだけの建築をまとめるのは中々大変だと思い、入賞に値すると評価した。 |
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(新居 千秋) | ||||||||||||||||||||
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