所在地 :愛知県岡崎市岡町原山12−5 |
キャンパス中央に位置する中庭の再整備計画である。 もともと敷地中央に走る高低差4mの崖により視線も動線も分断され、アスファルト広場が広がるだけの殺風景な敷地であったようだが、その崖を崩してなだらかな緑の丘にしてしまったところがこの計画の第一のポイントである。これにより、崖の上下で分断されていたキャンパスがひとつに繋がり、この広場を中心としてキャンパス全体が見違えるように活き活きとした場所に変身した。 敷地面積3,500uに対して学生間の交流スペースやバス停として要求された新築面積は500uとかなり小さい。これをひとつのボリュームとして置くのではなく、緑の敷地いっぱいに縦横に回廊状に広げて配置している。緩やかな斜面の地形に沿うように幅4mと2mのフラットな屋根が縦横して走り、公園全体を建築化することにより、内部空間、外部空間、中間領域が混ざり合った、公園とも建築とも言える様な自由な場所が生みだされた。 単に広いだけでなく、オープンな環境の中に色々な場所が散りばめられている。決して造りこまず自然に混ざり合ったような配置は、建築の用途や敷地内の動線などを規定せず、自発的で自然な人の振る舞いを喚起している。 実際、訪れたとき、サークル活動やミーティング、読書やおしゃべりなど思い思いのすごし方をしている学生たちが印象的であった。お互いの活動が見えることにより新たな交流がうみ出されていることがよくわかる。 軒先や建具周り、鉄骨のディテールなどは必ずしも洗練されているとは言い難いが、寧ろそれが緊張感を無くし、大らかで若々しい空間になっている。 決して気負わずあくまで自然体の、設計者の人柄が滲み出ている、若々しい感性もたらした爽やかな作品であり、新たなキャンパスのあり方として大変好感を持った。 |
||||||||||||||||||||
(陶器 浩一) | ||||||||||||||||||||
|
|