所在地 :長野野県北佐久郡 |
「正方形平面の対角線上で空間を分節し、南北に逆勾配のバタフライのような屋根をかけ、屋根の傾斜に特徴づけられる斜面に沿って上昇する空間と、斜面に逆らい、宙に向かう開放的な空間の二つの質の異なる場所を作り出す。」この建物の評価が分かれたのは、まさにこの建築家の主張する部分の空間の質という事と、雪の多い地域に交叉する屋根を作り、その側面に開口部分を作るかどうかということだった。この三角形の小さな窓は空間的に効いているし、美しいシーンを作り出している。ディテールもしっかりしていて、私は問題ないと思ったが、この建物が別荘なので、デザインがしやすいということで論議になった。屋根のズレと内部空間のズレをうまく利用して、屋内が全部広間から階段を通して見え、台所の空間や階段上部より広間、子供部屋を見る時にこの三角形のサイドライトが効いている。非常にコンパクトな家を、レベル差や、屋根のズレを利用して豊かな空間にしている。色々なディテールの中に、この建築家のやさしさがこもっている。かなりハイレベルの美しい建築だと思う。長い時間の論議の後に、ついに挙手で決めるということになり、入選となった。 今年は名古屋のコートハウス、羽根北の家、eaves house等、4年間の中でも非常にコンセプチュアルで空間もディテールも優れた建物が数多くあったので、これとは別の建物に対して発せられた、増澤審査員の「美しい建物ではダメなんですか?」という質問に、この建物で考えさせられた。 |
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(新居 千秋) | ||||||||||||||||||
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