所在地 :愛知県岡崎市 |
郊外の住宅地に立つ2世帯住宅。1階は主に親世帯、2階は子世帯の住まいであり、1階は前面道路を挟んだ正面の公園とつながる様な筒抜けの、2階はグリッド状の腰壁・たれ壁でゆるやかに区切られたワンルームの空間になっている。 訪れる前は、1階は開放的といいながら普段は閉じられているのではないか、2階はグリッドの規則により生活が規定されすぎてはいないかと懐疑心を抱いていたのだが、建築はやはり実際の空間を体験しないとわからない。 駐車スペースから土間エントランス、居室を介して奥のプライベートスペースへと連続する1階の生活空間は、やや大きさを絞った正面引き戸と床の段差により外部空間と緩やかにつながり、また、2世帯間は階段室と収納を収めたボリュームと引き戸によってフレキシブルに区画され、公園で遊ぶ子供やふらっと立ち寄るご近所たち、および親子の世帯それぞれが適度な距離感を持って接している。 2階はグリッド状の腰壁たれ壁でクライアントの“13の要望諸室”を満たしながら、ワンルームの居室となっている。審査の過程では、居室から外部が見えないことやワンルーム空間の住まい方について疑問という声もあったが、視界を遮らない開放的な空間の中でパブリックとプライベートを併せ持つ空間構成がとても魅力的であった。 近隣との繋がりや各世帯の生活のあり方がよく考えられた建築であり、住まいと周辺地域、親子2世帯、パブリックとプライベート、それぞれが適度な距離感を持って接しているのが印象的であった。 |
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(陶器 浩一) | ||||||||||||||||||
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