所在地 :富山県砺波市三郎丸208 |
大正時代に建てられた酒蔵の改修計画である。 間口24m奥行き54m高さ20mの壮大な蔵は、阪神淡路大震災後に奥行き方向に約半分が解体されたが、創建時の酒蔵の魅力を残しており、富山県の近代遺産百選や砺波市の文化財にも登録されている。 酒蔵としての用途も無くなり倉庫として利用されていたものを、建物の魅力を蘇らせ会社創業のシンボルとなるように、酒造の歴史と精神を伝える施設に再生したものである。 外観は、道路に面した2面は創建時の土蔵造りの伝統的意匠を継承し、部分解体時に塞いだ敷地内妻壁を象徴的なファサードのエントランスとして改修しており、アプローチは、石畳の苑路を通って妻側正面の巨大な屏風状スクリーンの脇から建物に入る。 内部は、東西の両側部分が展示スペースに、中央2階建て部分がホールに改修されているが、圧巻は中央部分の吹き抜けホールである。元々2階建てだった部分を吹き抜けにしているのだが、階段状に床を設けることにより上部に連続する登り梁の迫力と一体となった大空間をつくり出している。また、ワンルームの大空間でありながらそれぞれのレベルでは落ち着きのあるスペースとなっている。確認申請が必要な大規模な模様替えにしないことを条件に、建物重量を減らすためと防火基準を現行法規に近づけるために2階床の大部分を撤去して減築する必要があったとのことであるが、その制約を逆手に取り、却って元々の架構の持つ豪快さや空間性を引き出した稀有な改修事例である。 |
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(陶器 浩一) | |||||||||||||||||||||
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