所在地 :石川県小松市こまつの杜2 |
北陸随一の産業拠点である石川県小松市の駅前に建つ科学博物館で、ものづくりを主軸として発展してきたこの街に「ものづくり精神を継承すること」と「この地で醸成される科学への興味を育むこと」を目的として建てられた施設である。 新幹線開業を視野に入れ高架化された駅の駅前広場から続く1.4haの敷地周辺には小松市の基幹産業の工場が並ぶ。建物規模の割に広大な敷地を訪れた設計者は、まずこの場所に大きな公園を作ることを考えた。地面から起伏して大きくうねる4つの“ウエーブ”は遠くの白山連峰と呼応して雄大な風景を作っている。起伏する曲面体の下には、ものづくりや科学への興味を育む展示・体験スペース、産業振興と交流のためのイベントホール、起業育成のためのインキュベーションセンターなどの空間がぴったりと収まり、それらが波のように連続的につながって展開する。 自然と導かれて丘(屋根)の上にあがってみると、理屈抜きに心地よい。ほどよくずらせて並んでいる起伏を上り下りすると遠くの風景や丘の下の様々な活動が新たな視点で感じられる。この場所は施設を利用しない市民にも開放されていて、通り抜けたり、散歩したり、子供たちが走り回っている姿が目に浮かぶ。 地面下にある弥生時代の埋蔵文化財を護るために建物をべた基礎として遺跡の上に“そっと載せる”など、見えないところでもこの“場”に敬意を払って接している。 地方都市の新駅周辺は荒涼とした風景となることが多いが、自然と共にある新たな活動の場を創りだしたこの施設は、地域に開かれた公共施設のあり方として非常に好感が持てるものである。 |
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(陶器 浩一) | |||||||||||||||||||||
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