所在地 :石川県金沢市小立野4−7−7 |
閑静な住宅地に建つ小学校は老朽化に伴う、建替工事である。 子ども達が学び生活する中での工事は、ゾーニング計画や建設時の安全対策などの大変な制限を受けたと予想するが、子供達の成長に合わせたエリア分けをした計画、教室とオープンスペースとの関係のあり方や特別教室への動線など、子ども達の活動と地域の景観を損なわないように緻密な計画をされた小学校である。 近年の学校は子ども達の安全と防犯を強化し、柵や門を締めて閉鎖的になる傾向にあるが、小立野小学校は地域へ開けた関係を優先しており、特別教室での授業や元気に校内を走る子ども達を道行く人々が伺うことが出来る。 地域に定着している歴史があるからこそ、住民との信頼関係が築かれ、共存する術を知り建築にも生かされているようだ。 その方法は、住宅のスケールにまで高さを抑え、軒をのばして住民の生活の場との視線をずらすなどの工夫が見えるが、一番の特徴は全面道路に接する敷地を開放して、緑化し魅力的な遊歩道を作っている。 子ども達が安全に歩行出来るだけでなく雪の多い時には道路の雪置場として、車両が通行出来るように配慮され地域に貢献している。 子ども達の成長と学びの場所つくりには教育委員会も積極的に参加して計画が進められたようだ。 建替え前の中庭と樹木を残して造られた低学年の木造の平屋の校舎は、床や壁、掲示板など昔ながらの材料を使っていることもあるのか、新築ではあるがどこか懐かしい。 何十年もの時間の経過を経ても、母校としての愛着が子供達の心の中にしっかりと刻まれるであろうと予想される学校建築である。 |
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(川口 亜稀子) | |||||||||||||||||||||
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