所在地 :愛知県名古屋市中村区稲葉地町2丁目16−8 |
この案は最初に票を入れていない案だった。類型化の多い病院建築を、軽い気持ちで変えている元気な案だと感じ、同じように類型が多い事務所建築と比べてみようと思い、現地に行った。 最初に驚いたのは、設計者がNTTファシリティーズだったということだ。こういう案は私たちのような事務所がやると思っていた私の偏見を吹き飛ばした。中部建築賞の大手組織事務所の応募者は毎年見事に色々な偏見を覆してくれる。案は隣の集合住宅や幼稚園等と上手くバランスをとっており、幼稚園の子供たちに菜園が開放されている。病院というと薬くさい、患者よりむしろ医者を大事にする建物が多い中、この案は明るい外側に患者のゾーンを置き、医者の場所は中央において、患者のいる場所が居心地が良く外が見え、また上下階の視線の交差が有り、類型的な病院の中廊下の暗い場所に患者が閉じ込められ、行くと病気になりそうなタイプや、病院の経験の多い設計者がやりがちな計画と違うものだった。いつも病院をやっているのかと聞くと、そうではないと答えが返ってきた。病院のエキスパートとされる人がいて、一律に同じような病院を作っていると思っていた私にとって、NTTファシリティーズには木目の細かい設計を許す体質があると実感した。またこういうアイデアに優れた建築はややもするとディテールが甘かったり、やり過ぎてクレームの出る建築が多いのだが、その点はしっかりとおさめている。また外壁の細いタイルの色のバランス等、ギリギリのポップさを持ちながら、シックに出来ている。手摺など若干気になるところはあったが、百聞は一見にしかず、時間を超過して見てしまった。 |
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(新居 千秋) | |||||||||||||||||||||
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