所在地 :富山県富山市舟橋南町2−22 |
富山県旧知事公館を改修し、新たに文学の展示棟を増築したものです。建物の構成は、旧知事公館を屋敷、展示棟に展示室・収蔵庫のスペースを内包したボリュームを蔵、それを繋ぐスペースを土間と見立てたものです。構造的には蔵のコアの部分で水平力をもたせ、上部に屋根をかけています。従来の民家の構成と構造の合理性を踏まえてデザインされたものです。旧知事公館と展示棟が歴史的構成をベースに一体感を持たせる手法は評価できます。 また、旧知事公館の庭園のデザインも継承され、旧知事公館のレストラン部分は、庭園に面して作られ、心地よい空間になっています。展示棟のライブラリーも庭に向かい解放され、キャンティレバーの12mの庇とともに、この建物の一番の見どころとなっています。エントランスホールへのアプローチは、庭園とライブラリーを両側に見ながらアクセスできます。蔵を包むアルミキャストの外壁は、地場産の材料を使い、コンクリートの躯体を保護するとともに、雨水の樋の処理も行い、外部に樋が出ないよう細かい配慮がなされています。展示棟内部は、子供が集まる漫画コーナーは吹き抜けのある比較的オープンなスペースにあり、静かに鑑賞する展示は蔵の内部に作られていて騒音を防ぐという配慮がなされています。 松川べりから知事公館の庭園に向かうランドスケープデザインから建築のディテールに至るまで密度の高い、完成度の高いものとなっています。 |
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(貴志 雅樹) | |||||||||||||||||||||
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