所在地 :長野県上伊那郡箕輪町中箕輪沢1738 |
伊北インターを降り国道を走ってすぐの場所に建つ工場は多くの人を迎え入れるようにインターに向かった位置に配置されている。 北沢建築工場は大工10名をかかえ育成する地域密着型の工務店である。 手刻みの工場には6mの木材が振り回せる広い空間が必要である。 一般的には木造集成材の大断面で構成されがちだが、地元の木材を使い職人達で組立てることが出来る架構であることに拘っていた。 6m以内の流通材を使い安全率を本数で補う樹状トラスと方杖ルーバーで構成された架構は優美でエレガントな姿となり、西のハイサイドから注ぐ光で木材1本1本が幻想的に浮かび上がり神々しい空間となっている。 住宅をつくる延長で大きな建物を、流通材を使い在来工法の仕口や継手とビスで組立てていく構造は職人達も大きな自信となった。 また柱の貫や方杖を渡って高い場所まで渡っていけるので、足場を設置しなくても建物全体のメンテナンスが容易に出来るなど、大スパン構法の新しい可能性を示唆している。 事務所棟と研修棟が加工場に隣接して建っている。 研修棟は樹木の合間から入る小さな建屋で、県産材で作られており4畳半のお茶室にもなる。木製の建具を全開すると庭の緑が美しく、安らげる離れは加工場と対照的である。 事務所棟は展示室や商談スペースとして使われている。 南北に軒の深い縁側があり、建具を開放すると川と山々に囲われた自然を見渡しながらゆったりと住宅のリビングでくつろいでいるようである。 地元の木材を大切に使い、職人達を育て、昔ながらの技術を伝承・継続しながら、新しい木造の可能性を試みる。 建築士と工務店との高い意識が生み出した美しい建物群である。 |
|||||||||||||||||||||||||||
(川口 亜稀子) | |||||||||||||||||||||||||||
|
|