所在地 :愛知県稲沢市 |
若い夫婦と幼い二人の子の住むこの家は、畑や水田が次第に住宅地に変貌しつつある小都市近郊にある。敷地は南北に長い角地で、北側と東側が道路となり、東側を正面とする。更に東側には戸建住宅が連なるが、西側は農地で、今後の変貌も予測される環境である。 妻がピアノレッスンを行うこの家は、敷地北側にレッスン室を、南側に2層の家族のスペースを配し、これを幼い子どもたちの遊び場となる屋内のワークスペースと中庭で繋ぐ。ダイニングやリビングは2階部分にあり、中庭は高さを徐々に変えながらレッスン室と家族のスペースを結びつける。周辺の雑然とした風景から周到に切り取られ、室内や中庭に取り込まれた空と緑が、それぞれの場の雰囲気を作っている。家族はそれぞれの場に離れていても、視線の繋がりによって、お互いの存在を自然に感じることができる。 STAGEとは、このようにして家族が時を過ごしていく様々な場があり、相互の見通しによって家族が結びつけられる関係性による。中庭を内包して、緻密なコンクリート打放の大小二つの片流れが接続する全体の形態は硬質であるが、ヴォリュームは抑制され、過剰な存在感はない。とはいえ、道側の表情はやや閉鎖的で、外部とのつながりに暖かさを生み出す何かがほしいと気になった。家族はここでの穏やかな生活を楽しんであり、家族と設計者、施工者の幸福な出会いが感じられる住宅である。 |
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(菅原 洋一) | |||||||||||||||||||||
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