所在地 :岐阜県可児郡 |
ソラニハ………。なんとも魅力的なタイトルなのだろうか。この住宅は岐阜県の御嵩町、盆地に形成された街なかの一角にある。街の中心部にありながら落ち着いた環境下にある。上記の写真からは一見、自己主張の強い建物に思えるが、現場に行くと、探さなければならないほど周りの景観に溶け込んでいる。色彩も落ち着いている。 そもそもソラニワの誕生には必然性がある。敷地の北側には施主の両親の住む母屋と倉庫がすでにあるため、できるだけ敷地南側に建てることによって、母屋の採光と通風を確保する必要があるが、南隣地にはギリギリまで住宅が建設されているため、自身の採光等を確保するには敷地北側に寄せるほどいいことになる。敷地の広さに限りがあるので、その最適解としてソラニワが生まれた。すなわち、天窓からの採光である。しかし直接採光では光が強すぎ、天井高を高くすることで隣地からのプライバシーを守ることができるが、母屋の採光と通風が阻害されるので、その解決策が平屋住宅と小屋空間(ソラニワ)の組み合わせである。ソラニワがあるので、乱反射させて柔らかな光を室内に取り込むことが可能となった。また、ソラニワがあるので、隣地からのプライバシーを守りながら採光ができるようになった。 平屋部分はLDK、玄関、子どもスペース、寝室に分節化されており、それらは直線廊下によって結ばれる。LDKと子どもスペースには北側と南側にソラニワが、寝室には北側に据え付けられている。平面は単純明快であるが、立面はソラニワがあるため変化に富んでいる。 この住宅の施主(住まい手)には5歳を筆頭に3人の子どもに恵まれている。子ども達にとってソラニワは恰好の隠れ家であり、遊び場である。上を見れば青空や星空が見え、下を見れば親たちの会話が聞こえるソラニワは子ども達の創造力を育んでいくであろう。果たして、子どもの成長、家族の成長とともにソラニワの使い方がどのように変化していくのであろうか、楽しみである。 |
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(井澤 知旦) | |||||||||||||||||||||
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