  所在地 :三重県いなべ市員弁町笠田新田６０７ |
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| この小学校は仮設校舎をつくらずに、既存校舎を同一敷地で段階的に建替えたものである。敷地は過小であったため、食い込んでいた保育所敷地も新たに加えられたが、それは小学校とは高低差のある不整形のものであった。員弁西小学校を特色づけている６角形平面の教室や中庭、スキップフロアは、このような敷地条件と建替プログラムの解として成立した。 それは微妙なバランスの上に成り立つ特殊な解であるが、制約を逆手にとって前提条件を良く消化したものであり、結果として個性的な学校が生まれた。とりわけ、廊下から自然に導かれる中庭は、教室移動や遊びの機会に子どもたちが自然に出会い、さまざまな行為が繰り広げられる場として工夫が凝らされ、この小学校の最も魅力ある場となっている。また、6角形の教室は使う側の力量も必要とされようが、学級ごとに様々な机配置がなされており、学習環境として様々な可能性を感じさせる。 この小学校は地域の人々、学校関係者、設計者がワークショップを重ね、それをもとに設計を確定させるプロセスを経ており、学校教育に加えて、放課後の学童の保育や地域の施設利用にも細やかな配慮が行き届いている。子どもたちとのデザインワークショップもタワーの床面・ガラス面のデザインに反映されている。やや野暮ったい表情を浮かべてはいるものの、親しみやすい建築となっているのは、こうした取組の成果であろう。変則的な形態を実現する誠実な施工もまた、評価に値するものである。今後、この学校が地域とともに成長していく事、この学校での様々な記憶が子どもたちに生きる力を与えるものとなる事を期待したい。 |
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| （菅原 洋一） | |||||||||||||||||||||
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