第42回 一般部門 入賞

所在地 :愛知県豊川市
 この住宅は、蒲郡市に隣接する御津という古くからの集落のなかにある獣医さん夫婦の家である。
 御津の集落のなかに入り、この家の前に立った時、このモダンな住宅は、意外にしっとりとこの集落に馴染んでおり、外壁の竪ハゼの色のせいなのか、想像していた違和感はありませんでした。
 南側の土間の空間は、書斎や勉強、室内テラス、サンルームと犬と人とが外の庭と室内との中間域として機能し、居間は飾り棚などの収納部分で仕切られながらガラスを通して柔らかな光となって落ち着いた雰囲気を醸し出しています。壁に収められたドアは、常時開放というお話ですが、冬の温度調節用として使われるのでしょう。全体的に細かいところまでディティール・寸法がよく検討され美しく仕上がっています。キッチンも収納部分が一枚の引き戸で隠されていますが使用するときはこの引き戸を全開すると使い勝手のよいバック棚となって現れます。『最初に設計者の伝えた希望がすべて実現しました』との奥様のお言葉から、日々の生活を楽しんでお暮らしの様子がうかがえました。
 2階の寝室は、畳台の下の板を外すことで衣裳缶の収納として利用できる高さを持っています。寝室の床とテラスの高さが程良い関係で、人と犬が向き合い新しい関係性を生み出す可能性を感じられます。また、屋上のテラスの手摺の高さがよく、周辺の民家を腰壁で隠し、密集した集落の外までの広大な空間の広がりが感じられるようにとの設計者のお話通り、確かに広大な青い空に雲が気持ちよく流れ、この寝室で目覚める日常の生活の気持ちよさを想像してしまいました。
 屋上に階段で上ると屋上テラスは意外に広く流し台もあり色々な行事を楽しむことができそうです。
 今年の夏はここで子供達がプールで楽しんだそうです。ドッグランのある家ということで犬たちと暮らすという一つのモデルになりうると思う。人と犬が永く楽しく暮らせる家になってゆくことと思います
(冨田 真知子)
主要用途 住宅
構  造
木造
階  数 地上2階
敷地面積
520.26 u
建築面積
87.78 u
延床面積 126.06 u
設計者 彦坂昌宏建築設計事務所
 彦坂 昌宏
施工者 丸中建設株式会社
 代表取締役社長 中神 佐武郎

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