所在地 :静岡県御殿場市 |
敷地はJR御殿場駅の西側の市街地裏通りに面していて、若い夫婦のための街中の住まいである。西には富士山が東には箱根連山が控え、街並みの屋根越しに各々を望むことができる。この景色を室内に切り取るために、設計者は工夫をしている。まず約3間の開口部を西面と東面に設け、2階からは上では薄い床厚のスキップフロア越しに、両方を眺めることを可能にしている。木造2階建ての住宅であるが、平面計画は共用スペースを中央に配置し、サンドウィッチ状に西と東のブロックに分かれた居住空間ではさみ込んでいる。それぞれの平面の各階の床は、断面的にスキップしていて平面的に重なることがない。これを断面でみるとあみだくじ状になっているのがわかる。そのためか、2階建という意識で室内空間を捉えられず、それが設計者のねらいの断面の自由度ということだと想像できる。構造は水平力を南北に配置したコア状の壁でほとんど負担し、南北軸の広い開口部は一間ごとに45角の鋼棒の柱が配置され、これが一部軸力を負担している。それにより開口部の床梁の梁成のメンバーを抑えて床を薄く見せている。同時に、広い開口の視覚の妨げにもならず、説明なしでは一見これが構造材だとは気がつかない。外観はシルバーのガルバリウム鋼板で被覆された四角いBOXで、北側の道路からは変化に富んだ内部空間の雰囲気は伺えない。設計および施工面でも、一貫してコンセプトを生かすための努力が感じられる住宅である。 | |||||||||||||||||||||
(清 峰芳) | |||||||||||||||||||||
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