所在地 :愛知県安城市藤井町長先63−2 他48筆 |
自動車関連部品を製造する企業の、8か所に分散していた技術開発部門を統合し、効率的快適な仕事環境を整えるために計画されたオフィス建築である。同社の工場が立地する広大な敷地の中に立っており、容易に近づくことはできないが、外壁のパネルとガラスが織りなす流線形の立面が遠くからも印象的である。 内部空間は、90m×96mのほぼ正方形の平面形で、2つのオフィスゾーンが吹き抜けの中庭を挟む。両側のオフィスゾーンは半層ずつずれており、両者はスロープでつながれている。この断面構成が外観にも表われている。スキップフロアとなったオフィス空間は、全体を回遊しながら移動することができ、歩行距離は長くなるものの、直接的、間接的に他部署の様子を感じ取れることの様々な効果が期待される。 オフィス空間は90m×32mと広く、通常の天井高だと圧迫感が懸念されるが、吊り天井を採用せず、設備配管をPC梁内に隠すなどの工夫により、階高4.1mの中で2.7m、3.1m、3.7mと天井高を変えることで対応している。 環境面では、バルコニーや日射遮蔽ルーバー、タスクアンビエント空調、地中熱と井水を熱源としたヒートポンプシステムなどの導入により、省エネ・CO2削減に大きく貢献している。 また、設計に入る前に、多くの従業員が参加して新たなオフィスでの働き方について検討がなされ、その成果が16の「場」のアイデアとしてまとめられた。このアイデアはオフィスの各所で空間的に翻訳され、実現している点も注目できる。 58,000uという大規模オフィス空間を一体的な仕事の場として計画し、また大きな箱ではない外観としてもデザインされた点や、環境面での取り組みがうまく結実した建築として評価できる。 |
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(小松 尚) | |||||||||||||||||||||
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