所在地 : 静岡県牧之原市
 地域はお茶の産地、牧之原台地の南端、駿河湾に近い田園地帯の一角に当たり、この住宅の二階テラス越しに南を眺めると、北斜面の小高い丘の茶畑に小さな鎮守の森を臨むことができる。あえて地域を守る森の主にこの森を託し、「トトロの木の下」というコンセプトで設計されている。
 コンパクトな総二階の白い塗り壁の四角い箱に入ると、米スギを乱尺にはって樹木の幹に見立てた四角いシャフトがあり、周り階段が収められている。1階はこの「幹」まわりが通路となり、南側に2人分の子供室が、北側には寝室、裏の東側に浴室、トイレが配置されている。これらの部屋は日中引き戸を開放することにより、通路に対してオープンとなる。2階を見上げれば「幹」の四方は吹抜けとなり、半分張り出した、ベンチ(あるいはテーブル)がしつらえ、光と風が抜けるようになっている。2階は南側がリビング、北側がDKの一体の空間になっていて仕切りはなくオープン化されている。「幹」まわりのベンチがDKの幅を有効に活用するための仕掛けであることがわかる。(この吹抜けから物が転がり落ちた場合の危険性を指摘する意見もあった。)
 内装の仕上げのほとんどは造作家具共にラワンベニヤで統一され、コストを追求しながら質感とコンパクトな平面の中に、空間の広がりを求めた努力が評価された。さらなる可能性に期待をこめて入選となった。
(清 峰芳)
主要用途 住宅
構  造
木造軸組工法
階  数 地上2階
敷地面積
123.94u
建築面積
53.60u
延床面積
106.55u
設計者 株式会社エムエースタイル建築計画
  川本 敦史 ・ 川本 まゆみ
施工者 株式会社カネ子工務店
  加藤 孝明

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