所在地 : 愛知県豊田市 |
若い夫婦と2人の幼い子どもからなる4人家族の住宅である。目抜き通りから駐車場を経て奥まった不整形な敷地に建つ。 建築的には木造である箱型の母屋と、楔形をしたRC壁構造の平屋、この二棟からなる。RC構造の平屋部分は図面上では「離れ」となっているが、実際にはこの住宅の玄関であり、内部空間は土間のような雰囲気である。ここから箱型の母屋に向かうが、入るとそこは基本的にワンルームの住居である。中心部分に収納と隠れ家のようなスペースからなる箱型2層の空間が置かれ、その周りにダイニング・キッチンから寝室に至る複数のスペースが、スキップフロアで確保されている。ダイニング・キッチンと寝室以外は機能との明確な対応関係は見られず、その時々の住まい方が可能なようになっており、現在は幼い子どもたちの遊び場や親子の団らんの場として使われている。 ワンルームの住宅ではあるが、床がらせん状にスキップアップしていく構成のため、一点から全ての様子が把握できるようなことはない。床レベルの変化も相まって様々なシーンが目に入ってくる。あわせて、周辺の建物との隣棟間隔が狭いため、開口部は限定的かつ周到に設置され、内部から外部への視線の抜けが周到に用意されている。ワンルームゆえに、子どもたちが成長し思春期を迎えた際の対応などに心配をしたが、その頃には「離れ」であるスペースが子ども部屋に改装される予定である。 マンション生活を経てこの住宅を手にいれた若い施主が、この住宅での生活を楽しんでいる。説明してくださった時の表情から十分にうかがえた。建築家とともにこの住宅に込めた可能性を、子どもたちの成長とともに引き出して楽しんでほしい。 |
|||||||||||||||||||||
(小松 尚) | |||||||||||||||||||||
|
|