所在地 : 福井県三方上中郡若狭町北前川48-10 |
福井県若狭町はラムサール条約登録湿地「三方五湖」を有する風光明媚な町で、「バイオマスタウン構想」を掲げる町でもある。本プロジェクトは、平成19年度の環境省『学校エコ改修と環境教育事業』に指定されたモデル事業であるが、ソフトとハードの両面で生徒・教員・地域が一体となって精力的に取り組んだ事業として高く評価される。 ソフト面では、明快な環境教育目標(研究主題)の下で、参加体験型学習を主軸とする「年間プログラム(体験→振り返り→次の体験)」と「3年間の循環プログラム(感興学習→関係学習→勘考学習)」が緻密に組み立てられ、生徒・教員と地域(保護者・工業高校生・建築関係者等)が共に学習し、目標を共有しながら、施行段階(中庭ウッドデッキの設計施工等)にまで全員の力が結集されている点と、各プロセスでの成果や問題点が几帳面に検証・記録され、今後のエコ改修や環境教育に生かすシステムが形成されている点がとくに評価される。 ハード面では、「耐震改修を伴う学習環境の改善(ゾーニング再構成、動線再構成、学習空間のオープン化とフレキシブル化、地域材を活用した木質空間化)」「温熱環境の改善(躯体外断熱化、ペアガラス、日射遮蔽ルーバー、ドラフト自然換気、夜間換気ナイトページ、ペレットストーブ)」「CO2排出量削減(太陽光パネル、雨水利用、各種省エネ機器)」等が、「渡り廊下増築(1階部分の狭い渡り廊下を環境学習ギャラリー・吹抜・屋上庭園を含む3階までの渡り廊下棟に増築)」という方針を軸に緻密に組み立てられている。この増築された「渡り廊下棟」が、ゾーニングの明確化と回遊性のある動線確保に貢献するばかりでなく、自然換気を促進する「風の塔」としてシンボル化され、さらには、残された桜の巨木とともに新たな「学校の正面(三方五湖に向く正面性)」としてシンボル化されている点がとくに評価される。 |
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(桜井康宏) | |||||||||||||||||||||
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