つながる家所在地 :岐阜市 |
岐阜市郊外の田園に面したのどかな場所に位置し北側道路の敷地にご夫婦と障害を持つ娘さんと小学生の息子さんの4人家族の住宅、小雨の降る午後、北側道路を歩いてゆくと一見平屋建てだったかと思わせる高さを抑えた外観が静かに私たちを迎えてくれました。 駐車場からスロープを上り大戸のような玄関扉をスライドさせ室内へと導かれ明るいリビングへと入る確かに畑の借景は家の中からは一枚の大きな絵のように見えます。 娘さんのいる位置が家の中心の畳の間、四方の建具はその時々に家族のほうに開いたり閉じたりしながらつながってゆく家、お母さんがキッチンに立つと全体が見渡せられ子供達の様子を見ながら家事をする。水周りもフルオープンになって寝室とつながり、浴室から南側の縁側につながってゆく。上手に引き戸を使い回遊性のあるプランはダイニングから2階の吹き抜けへと空気がつながっている。この家は土壌蓄熱式の輻射暖房で家全体を暖かくし、居室から浴室まで一定の温度を保ち、ヒートショックを防いでいるとのこと。風通しも良く今年の夏もあまりエアコンを使わなかったとのお話も、屋根にこもった熱気を逃がす外断熱通気工法で軒先通気も有効であったと思いますが、オープンなプランも夏の風通しには、効果的だったのではと思う。 また南側の畑はその季節ごとの収穫を景色として見ることができ、ここも家の中とつながっている。縁側に出れば農作業をしている人とお話もでき、日がな一日退屈しないで日向ぼっこもできる。こんなのどかな風景を見ながら一日の家事をし、緩やかな時間の中で暮すことができる家はこの地であればこそのかたち。駐車場の西側の壁の切り欠きは、車の見通しのためにカットされたというが、駐車場の暗くなりがちの空間を明るくする有効なデザインであった。 車庫から直接荷物をキッチンに入れられる搬入口・格子で目隠しされた物干し等主婦のためのこまやかな設計が随所に見られ丁寧に創られた優れた住宅である。 |
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(冨田 真知子) | |||||||||||||||||||||
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