所在地 :愛知県一宮市若竹3丁目2−2 |
尾張一宮駅から東南、車で約15分、立体化が進む国道22号の西、一宮市では比較的新しい市街地である若竹3丁目、愛知県一宮勤労会館に隣接して、いちい信用金庫新本店が建てられた。 敷地北側は、かつて一宮を中心に栄えた繊維産業の卸団地が、西側には上述の勤労会館や一宮市の温水プールがあり、前面道路の南北に計画的に施設配置され、緑地が確保された比較的整然とした都市景観が形成されている。 ガラス鏡面の様な外観デザインがオフィスビル始め業務〜学校系の高層建築の傾向として一般化している中で、PCのフレームで表情を特色付けたこの建物に新鮮な印象を覚えた。賃貸ビルとは異なる自社ビルとして、顧客への金融機関の信用や格調を表そうとした意図が伺え、同時に周囲の町並みに新しいランドマークとなっている。 地域には特別の協定や制限は無いものの、隣接建物の配置や緑の空間を踏襲し、新たな町並み形成を試みた施主と設計者の意図が高く評価される。 敷地の南に道路を挟んで、蛍の庭を作り、市民との交流の場を提供している。自然環境に対する企業姿勢を示すものとして注目される。 外観は高層建築のデザイン原理でもある3層構成によるファサードに安定感がある。低層階は店舗と市民にも利用を開放するコンベンションホールで基壇を構成、中間階はPCフレームの執務フロアーを連続、上層階は役員室・食堂・屋上トラス部分とし、外観にその相違を明確に示している。 構造の組立は、南北二つのSRC造のコアを縦軸に、屋上と3階に上下二つの鉄骨トラスを横軸で繋ぎ、その間の基準階をPC造で構成する構造デザインは明快である。このPCの採用が外観デザインにも反映された。施工計画でPCフレームを先に立て込んだ施工者の努力が伺える。オフィスビルに卓抜した設計者の手になる空間構成、構造デザインと表情の明快さが評価される。 |
|||||||||||||||||||||
(尾関 利勝) | |||||||||||||||||||||
|
|