所在地 :名古屋市中区錦1-11-11 |
名古屋の都心、伏見の錦通と伏見通の北西角に完成したオフィス建築である。名古屋興銀ビルの建て替えであり、国土交通省の「民間都市再生整備事業計画」認定を受けたプロジェクトである。総合設計制度の適用により200%の容積割り増しを受け、敷地境界からセットバックをして計画されている。 まず印象的なのは、白いプレキャストコンクリートパネルとガラス面による揺らぎの表現がされた外観である。ランダムな構成に見えるが、実際には幅1400mmと900mmのパネル各8枚と幅2300mmと1800mmのガラスのダブルスキンユニット各8枚で水平方向2スパン、垂直方向4層分の基本パターンを構成し、その繰り返しで全体の立面を作り上げている。オフィス空間側ではダブルスキン部の内側サッシが開閉でき、中間期や夜間は自然通気が可能であり、ダブルスキン内の清掃も容易にしている。 建物足下の1階部分にはギャラリー、地下1階には飲食店が入り、サンクンガーデンとして空間的に一体化されている。また、サンクンガーデンと地下鉄駅が機能的だけでなく空間的にもスムーズかつゆったりと接続されている。発達した地下街と地上の接続という点で、名古屋都心での見本といえる事例になるだろう。 また街路から見上げると、最上階に高木が見える。夜間にはライトアップされ、高木が浮かび上がる姿は街路景観のアクセントになっている。 近年、伏見通の錦通から桜通までの区間の建て替えが進んでいる。その中で立地と規模の点から、この建築が生み出す都市景観や公共空間への寄与は大きい。近景としての地上部の空間やデザイン、遠景としての外観デザインは一定の成功を収めていると思われ、それが今後周辺にどう波及していくのか、楽しみにしたい。 |
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(小松 尚) | |||||||||||||||||||||
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