所在地 :名古屋市熱田区六野一丁目301−1,2 |
金山の東南部、新堀川から東郊線付近の地域は、かつて精進川改修による新堀川運河づくりに際して、開削残土で干拓し、熱田工廠はじめ産業誘致により形成された名古屋の基幹的産業地帯であり、今もなお名古屋の産業活動を支え続けている。このような名古屋東南部の市街地形成を象徴する鶴舞公園が今年、その生誕から100周年を迎えた。 ECO-35は、鶴舞公園から19年後の1928年(昭和3年)、この地に創業した自動車部品メーカー(株)三五が、2005年に本社を移転した跡地に、技術や製品展示(E棟)、研修(C棟)、研究開発施設(O棟)として2008年にオープンした企業記念施設である。ECO-35の名称は、ここから来ている。 敷地の過半を水面(現在は水田に改修中)とビオトープ、雑木林に再生し、上記3つの機能を持つ3棟の建物が、水と緑の空間を囲みも太陽光を取り込むように逆L字状に配置されたプランはコンペによる設計者の提案がほぼ実現され、工業地域の中に、私企業の施設ではあるが、水と緑と生き物の空間を創出している。この様な自然環境再生の発端は、創業以来の建物撤去後に土壌汚染が発見されたことによるオーナーの発想とお聴きした。敷地内に当初のレンガ基礎が残されている。 建物は全て2階以下で構成され、展示施設のE棟は製品のマフラーをイメージするチューブ型の鉄骨造平屋建パビリオン、研修・会議施設のC棟は南側水面に向かって2階建ガラスフルサッシュによる明るく軽快なデザイン、研究・開発施設であるO棟はS造2階建、開発の機密性を意図したメタリックでクローズドなデザインである。 ビオトープや雑木林づくりには地域の小学生が参加している。敷地は境界を緑化しつつ常時は外部に閉ざされているが、雑木林やビオトープに子供達が出入りする専用口を設けている。特別なケースの建築とは言え、企業施設の地域への関わり方として注目されて良い例として評価される。 |
|||||||||||||||||||||
(尾関 利勝) | |||||||||||||||||||||
|
|