所在地 : 愛知県稲沢市正明寺三丁目114 |
既設の市民ホールの敷地の中につくられた図書館である。滞在型図書館として計画され、蔵書数45万冊、席数280席の他、雑誌やAV資料、児童閲覧室が充実している。 内部の空間構成として、1階は児童閲覧室と愛知の資料のコーナーがあり、メインの閲覧室(開架)は2階にある。これは隣接する既設のホールとの接続、相互利用を考慮したためである。閲覧室はハイサイドライトやトップライトの効も奏して明るく開放感にあふれ、また黒を基調にした色彩や木の仕上げ、木製家具でインテリアがまとめられており、利用者にとって落ち着きのある心地の良さを持った空間になっている。開館後の実績として、平日に平均1100人、週末には2100人の来館者がある。多くの市民がこの図書館で過ごす時間を楽しんでおり、一定の成功を収めていると言えるだろう。 建築空間としては、貸し出しカウンター付近は背の低い書架、その後方に背の高い書架という構成であり、見通しが利いて一体感がある。外壁周りにはキャレルコーナーやセミオープンの閲覧コーナーが配されている。落ち着いたスペースが生まれているが、その分壁面が多く、その壁面を斜めにするなどの工夫はされているものの、全体的に外観はやや重たい印象を受ける。滞在型図書館としてもう少し屋外と内部の関係を創り出せなかったか。また、2階がメインの閲覧室であるので、来館者をエントランスから2階へスムーズに上げるための積極的な工夫があってよいと思われた。 南側の集合住宅団地でも今後、公共施設の計画があると聞く。現在の市民の利用状況も鑑みて、この図書館がこの地の文化交流拠点の一翼を担い、発展することを期待している。 |
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( 小松 尚 ) | |||||||||||||||||||||
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