所在地 : 長野県北安曇郡小谷村千国乙3387-1 |
白馬からさらに北に入った谷筋の村に、3校の統合によって生まれた学校である。古道「塩の道」や諏訪神社に隣接した位置に計画されており、地域にとって象徴的な場所で自立した村づくりの一環として新たな学校づくりが進んでいる。 3メートルの積雪に覆われる雪深い地域である。よって雪対策が重要であり、同時に冬季の子どもたちの生活を如何に考えるかが設計上の課題となる。 その解答として、まず、積雪を落として除雪するために勾配屋根による分棟形式となっている。また棟の間を除雪車が通ることを条件に、棟をつなぐ渡り廊下のクリアランスが確保されたため、昇降口や図書室が入る中央棟が通常の階高よりも高くなっている。それを克服するために、昇降口から図書室に上がる途中に中二階の図書ホールを設けている。登校した子どもたちを迎え、そして子どもたちの生活の中心の場所として機能している。 子どもたちの生活の中心は2階である。オープンスペースを中心にした教室やクワイエットルーム、教師ラウンジ、デンなどのまとまりは、トップライトから降り注ぐ柔らかな光もあいまって、心地よいスケール感を生み出している。また、積雪に耐えるために鉄骨の方杖が屋根架構を支えるが、重たい印象にならないように配慮され、体育館ではむしろダイナミックな雰囲気を醸し出している。 少し残念だったのは、校舎周りの外構がアスファルト中心の舗装で覆われている点である。除雪車による作業のためであることは承知の上であるが、雪のない時期に子どもたちが外で過ごすための環境づくりの良い方法はないかと感じた。 この学校は、地域コミュニティの拠点としても計画されており、既に多目的ホールや子育て支援ルームなどが多くの住民によって利用されていると聞く。コミュニティ拠点として運営される学校のひとつの姿として、これからの育みを期待したい。 |
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(小松 尚) | |||||||||||||||||||||
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