所在地 : 岐阜県岐阜市橋本町2丁目52 |
岐阜駅を降り、整備中の駅前広場に掛けられたデッキを左手に向かうと、1棟の超高層ビル「岐阜シティ・タワー43」が目に入る。岐阜駅西地区市街地再開発組合の第一種市街地再開発事業による商業、医療・福祉、住宅の複合ビルである。この再開発によりJR高架下商業空間「アクティブG」と直結、市の文化交流施設の十六プラザ(:旧郵貯施設)、市営駐車場と一体的な街区を形成し、金華山のおよそ1/2の建物高さとともに、駅前まちづくりを象徴し、先導するシンボルとして事業の完成を見た。引き続いて問屋街の再開発が予定されている。 岐阜市では、1400軒を数える国内有数の産地問屋街を戦後に形成、市の基幹的産業として隆盛し、流通構造の変化とともに今は400軒程に衰退したアパレル系問屋街を始め、名鉄新岐阜駅前までの老朽化した密集街区を鉄道高架と駅前広場整備と併せて市の玄関となる顔づくりをめざし、およそ四半世紀を掛けて再開発を進めている。 再開発の長期化は鉄道高架に寄るところが大きいと言われるが、それにも増して産業構造の変化に対する都市機能の転換が地方都市では容易ならざること、かつては隆盛し、今は低迷する地域での合意形成が容易ではないことが上げられる。この間の経過には、地権者、行政はじめ関係者の涙ぐましい努力があったものと推察出来る。 プロジェクトは低層部にアクティブGとデッキでつながる店舗はじめパブリック機能を配置、高齢者用公的賃貸住宅と併せ、一般に開放された医療・福祉施設を導入、その上層部は分譲住宅とし、最上階は岐阜市の権利床を公開展望施設とした。ここから山並みに囲まれた岐阜市の全域がほぼ眺望出来る。この階層構成はファサードに特徴的に現れている。この他、低層部の屋上庭園などの環境配慮、最上階に置ける免震装置など技術的提案も試みられた。これらは一般の超高層住宅とは異なる再開発のまちづくりによる事業の特徴として評価される。 |
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(尾関 利勝) | |||||||||||||||||||||
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