ミッドランド スクエア

所在地 : 愛知県半田市広小路町90

 この建物は、JR半田駅と名鉄半田駅の間、名鉄駅前の区画整理地区内にあり、旧市街地黒板塀の町並みに近接する立地にある。歴史ある町であるが、近年は名古屋市のベットタウン、中部国際空港のメリットを生かして流入人口(現在12万都市)が見込まれる。中心市街地の整備に伴う再開発事業として、このビルは10年程以前より計画されてきた。半田市の身の丈に合った再開発として市の大きな参加がなければ実現しなかったであろうと想像されるが、地方都市の駅前という立地を生かしたシンボルとなる心地良いスケールの建物である。これを核に駅前周辺が今後どのくらい発展していくか期待と不安の両面を持つ微妙な地域であろう。
 再開発ビルとしてはいくぶん小振りなこのビルではあるが、地上17階(60M)という半田市では最も高い建物で街のランドマークとしての景観を創り、端正な高層部(居住棟)のデザインが設計者の力量を感じさせる。1・2階は商業施設(テナント)と業務施設(銀行)が入り、3階は立体歩道により駅と直結する市施設(子育て支援センター・市民交流センター)、4・5階・5階屋上は駐車場、6階〜17階は分譲型居住棟となっている。再開発ビルの場合、権利調整をさておいても、入居施設の構成(主に商業テナント)・誘致に時間を費やすものだが、このビルも完成までの年月を知ると関係者の大変なご苦労があったことをうかがわせる。居住棟(高層部)は、外観の魅力的なデザインもさることながら、駅前という利便性、名古屋市や国際空港に近いという条件から、即完売という事も聞くと、これからの半田市の方向が見えてくる。今後はこのビルの商業・公共部分が刺激となり、周辺部がどのように活性化・魅力づくりを進めていくか、市も含め課題となるだろう。

近藤 一郎
主要用途 事務所・住宅・店舗・駐車場
構  造
鉄筋コンクリート造 一部鉄造
階  数 地上 17階 地下1階 塔屋1階
敷地面積
5,267.83u
建築面積
3,757.87u
延床面積
25,848.41u
建築主 知多半田駅前地区市街地再開発組合
株式会社 大京名古屋支店
設計者 株式会社 アール・アイ・エー名古屋支店
施工者 鴻池・八洲共同企業体