所在地 : 石川県金沢市北陽台2丁目3 |
日本を代表する計測・制御メーカーである横河電機のライフサイエンス分野の拠点施設として計画されたこの施設は、金沢市の東、北陸自動車道の森本IC近くで周囲が緑の山々に囲まれた自然豊かな高台にある「金沢テクノパーク」に位置する。 正門を入ると来客を迎えるための長く伸びた壁状列柱になるエントランスキャノピーが目を引く。そして、その横には水盤状のウォーターガーデンが配され、キャノピー越しに見える全面硝子張りの建築群や青い空と周囲の山々を水面に映し出し、来客を強烈な印象で出迎えてくれる。キャノピーに続く受付・事務室・食堂等の機能を持つ厚生棟は奥に細長く、ウォーターガーデンと連続したウォータープロムナードを間に手前より産学共同研究棟、研究開発棟,工場棟の3棟の建物が相対して並ぶ。ウォータープロムナードの存在は安らぎ与えてくれると同時にセキュリティレベルの違いを視覚的にも感じさせている。 建物の外観は恵まれた自然環境を十二分に生かして借景を阻害しないように建物の高さは極力押さえられ、厚生棟を平屋にして背後の3棟を二階建てとし、建物の外観はあたかも硝子の宝石箱を感じさせるかのように外壁全面が細く軽快な列柱と淡い緑色を帯びた硝子で覆われている。 室内は床を含めて明るい白を基調としており、ウォータープロムナードに面するコミュニケーションスペースや渡り廊下の壁面や天井面には水面からの反射光による陰影や水のゆらぎが映し出され、よりいっそう心安らぐ空間につくり上げられている。 構造面では脳磁計等を開発する研究棟において高水準の電磁シールドを行い,非磁性体ステンレス構造が採用されており、また、設備面でも環境への配慮や省エネ、快適性等を考慮して「自然換気システム」や「自然エネルギー利用冷却システム」等々の技術が導入されている。 緑、水、空、光、四季の移ろいを十二分に感じさせてくれる新時代のオフィス建築である。 |
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( 上野 幸夫 ) | |||||||||||||||||||||
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