このコミュニティセンターが建つ富山市小見地区は、霊峰立山の麓に位置し、県内でも有数の多雪地帯である。また古くから山岳信仰の拠点・芦峅寺に近い位置にあり、聖域的な雰囲気を残す地域でもある。
建物の外観および内観は、実にシンプルなデザインでまとめられている。直方体のボックスのうえに急勾配の金属板の切妻屋根を乗せたような外観構成である。この急勾配の屋根は、いわゆる落雪型屋根で雪国に対応した民家の質実剛健さが如実に表れている。周辺の民家とスケール感がマッチしていて違和感がない。また、外壁に面する開口部は、屋根の庇が大きく伸ばされることによって、抑制が利き、面としての存在感と力強さが感じられる。
平面構成は各所要室を壁で囲ったような空間分割がなされている。これは諸室としての小さな箱を微妙な距離をもって間を創ることで、あたかも箱の集合体で構築されているように見える。事実、壁で囲われた部屋はそれぞれが構造コア的の役割を担い、大屋根を支持しているところは心憎い。そして、間となった空間は、ロビーや通路などの媒体空間をなすが、屋根裏まで吹き放ち空間とし、骨太の木梁をそのまま見せることで、連続するダイナミックな内部空間を醸成している。そのうえ、要所に配されたスリット状のトップライトからは、白い壁際に柔らかい光を注ぎ込むように工夫され、細部にまで気遣いされた作品である。
外構的な作為としてユニークなのは、建物を一周する舗装道路の存在である。これはこの地域ならではの配慮からくるものである。それは冬場になると一晩でどっかと、雪があたりまえのように降るため、重機で除雪するための通路なのである。この通路を隔てて、北側には背の高い塀を立ち上げ、小ステージを有する人工的な庭をつくり、南側は自然の山々の風景をそのまま見せる庭を配し、対比的な美しさを楽しめる外部空間構成も高く評価できる。
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