ミッドランド スクエア

所在地 : 岐阜県飛騨市古川町若宮2丁目1-63

 この施設は利便性を考慮してJR 飛騨古川駅の北側に接して建てられており、総合計画最後の文化交流活動の拠点施設であるため、先に造られた総合会館や飛騨の山樵館などの施設との連携を含めて総合的に計画された。センターと一体に造られた中庭は緑、樹、石、水の各庭で構成され各所に音楽を題材とした地元作家の彫刻像が配されており、中央には舞台が設けられている。各建物はこの中庭を中心に新旧の建物が取り囲むように建てられており、それぞれの建物は渡り廊下で新たに結ばれ一体化されている。
 センターの平面は700席のホールと各種練習・研修室及び管理室は、ふれあいの場となる高い天井とした中廊下のコミュニティーロードで明解に分けられている。ホール前の玄関となるアプローチはやや斜に構えて太い円柱で支えられた屋根と樹木を配した庭がつくられ、ホール前のホワイェからも眺められるくつろぎの空間としている。
 建物の外観は周囲の美しい山並みの自然景観に配慮し、高さは市内で一番高い寺よりも低く押さえ、ホールの屋根は山をイメージした緑色の多角形ドーム型としている。中庭側の壁面は冬季間の通路としてホールの曲面に応じて緩やかに蛇行した天井の高い列柱廊とし、柱間には間伐材の竪格子が入れられ風土色と柔らかさを出しているのに対して、反対面の線路側は騒音等を考慮し、あえて平面的な鼠色の箱型にして無機質で無表情な姿としている。
 室内は床や壁面及び天井面に木材を多用しており、特にホワイェ側面の壁面には天井面までの高さの巨大な飾り棚が造り付けられ、ホール内の後部には畳敷きの桟敷席も設けられカラクリ椅子の付いた格子の壁面にするなど、各所に飛騨の木工技術が取り入れられている。
昨年のオープン以来、文化活動の拠点として多くの市民に利用され50%を超える稼働率になるが、コミュニティーロードを利用した企画により今後益々に市民に親しまれる施設となるであろう。

上野 幸夫
主要用途 劇場・集会場
構  造
鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造
階  数 地上 2階 地下1階
敷地面積
25,873.96u
建築面積
4,338.53u
延床面積
5,617.82u
建築主 飛騨市
設計者 水野一郎+金沢計画研究所
施工者 株式会社 洞口